すゞろなる記

すずろ【漫ろ】〈形動ナリ〉たいしたものではない。たわいもない。

読みたい本と拾った言葉(平成30年9月)

「温泉の日本史」 ー 石川理夫 著

開湯伝承の古さを誇る温泉地は数あるが、史料による裏付け曖昧なことも多い。
歴史研究の対象となることもほとんどない。(途中省略)群馬の沢渡(さわたり)温泉、島根の温泉津(ゆのつ)温泉、熊本の奴留湯(ぬるゆ)温泉など土地の人が日々つかり、よそ者も快く迎えてくれる共同浴場は、ホテルや旅館が立ち並ぶ前からある。 

 

中年や 遠くみのれる 夜の桃
西東三鬼(さいとうさんき)の句

俳人長谷川櫂 氏による解説

中年は厄介な年代。青年の澱(おり)をなお引きずりながら、
老年の諦めにはほど遠い。夜のかなたのどこかで熟れている桃。
この句、その桃との距離こそが正体であるというのだろうか。
もはや手の届かぬ桃である。句集「夜の桃」から。