すゞろなる記

すずろ【漫ろ】〈形動ナリ〉たいしたものではない。たわいもない。

思い出の数学答案集

学生時代に先生から、問題集1冊をクラスで分担して答案集を作るように指導を受けた。

第1問が学籍番号1番の者の担当、第2問が2番の者、第3問が3番の者と言うように、番号順に担当を割り振り、各自が作成した答案を答案集としてまとめるのである。このことにより、自分とは異なる計算過程を知ることが出来たり、間違えやすい点を確認したりすることが出来るのである。

甲君の答案

他者の答案を見ながら、「その解法は思いつかなかった」と驚嘆することもあれば、「これは私の解法の方がスマートだ」と悦に浸ることもある。

乙君の答案

間違えてしまった答案については、どこで誤ってしまったのかを先生が解説をしてくれる。よくある間違いは、得てして自分も理解が甘い分野でもある。他者の答案をきっかけにして先生の丁寧な説明が聞ける良い機会になる。

丙君の答案

「このあと分かりません」と答案が止まっている。これはこれで良い。別にテストではないのだから、このような答案をきっかけにして、理解を深めていくのである。

丁君の答案

「崩壊」で答案が止まっている。何も記述せず白紙で提出することはなく、途中過程を書いているのだから、これも良いと思う。やっかいなのが、分かったふりをして取り繕った答案を提出してしまう者である。取り繕うことなく、真面目に答案を書いて、途中で断念しているのだから、この答案には救いがあると思う。学生時代は妙なプライドが邪魔をして、自分が分かっていないことを素直に認められないところがある。そのような年代でありながら、自分の限界を吐露しているのだから、この答案を提出した者は素直な者だと思う。